「ガストに行けない」「サイゼリヤは神」 低賃金にあえぐ介護職の実態 「カツカツの生活でガストなんて高くて行けません」 子育て中の高橋美幸さん(仮名、42)が、ため息をつく。夫婦ともに東京都内で介護職として働くが、家計はギリギリ。たまの外食の楽し…
「ガストに行けない」「サイゼリヤは神」 低賃金にあえぐ介護職の実態
「カツカツの生活でガストなんて高くて行けません」
子育て中の高橋美幸さん(仮名、42)が、ため息をつく。夫婦ともに東京都内で介護職として働くが、家計はギリギリ。たまの外食の楽しみにも制限がかかる。
特別養護老人ホームで働いていた美幸さんは、同僚と職場結婚。産後は子どもを保育園に預け、近くの実家も頼りながら夫婦で夜勤をこなした。
ただ、それも限界となり、3人目の出産を機に夜勤のない介護施設を探した。ただ、どこも「正職員で夜勤なしでは雇えない」「子育て中だからと夜勤免除はできない」と門前払い。パートの訪問介護職に転じた。
■「サイゼリヤは神です」
それから10年。1350円だった時給は上がらず、「辞める」と上司に直談判してやっと1400円になった。小学生の息子が不登校になった今、美幸さんは週3日だけ働く。
月収は8万円。夫は20年も勤める職場で管理職になったが、月の手取りは約28万円。貯金しようにも、最低限の生活費で収入は消えていく。中学生の息子2人は食べ盛りのため外食の出費は痛い。
「でも、ちょっと外食したいねというとき、月に1回くらい両親におねだりするんです。孫に会えるからと、ガストで食事をごちそうしてくれます」(美幸さん)。
家計が苦しい中でも時折、美幸さんは思春期を迎える子どもを1人ずつ連れて2人きりで出かけ、特別な時間をつくるようにしている。
行く先はチェーン店のカフェやラーメン店。スターバックスは高いからドトールに行く。ケーキは高いから、クッキーを頼む。
美幸さん夫婦の世帯年収は約500万円。日本の1人当たりの平均年収458万円とそう変わらない。学資保険で子ども1人当たり200万円の学費を準備しているが、私立の高校や大学に行くとなれば賄えなくなる見込みだ。
「ほかの家の子が当たり前のように通う塾や習い事はぜいたくで、とても行かせられない」(同)